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  • 2009.01.17 Saturday
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「日本の悲劇」

 今日の午後、NHKのBS2でやっていた映画「日本の悲劇」を見ました。木下恵介脚本・監督、1953年の作品です。
 叙情性で知られた木下恵介が徹底してリアリズムで作った作品ということで話題になりました。私はこの映画は観たつもりだったのですが、今日観てみて観ていなかったことがはっきりと判りました。そして愕然としました。何に対してかというと自分の歴史感覚の不確かさについてです。

 今の日本では、家族も社会も政治も壊れている、すなわち人間が壊れてきているということがよく言われます。私もそういったことを言ってきました。そこまではまあいいとして、その堕落した現状との対照で、「昔はよかった」という、いつの時代にも幅を利かす「歴史観」がますますはびこっています。私自身にもそのきらいはあります。これは「加齢」のせいともいえますが。

 「日本の悲劇」が描く1950年代は、私にとってはとにかく青春でした。青春を特に美化する気持ちはありませんが。
 日本全体をみるなら、この時代は朝鮮戦争以後のいわゆる「逆コース」と「再軍備反対」がせめぎあう政治の季節でした。このせめぎあいを通じて「戦後民主主義」は定着して来たのだと思っています。私は大雑把に言って「戦後民主主義派」ですから、どうしても、1950年代を美化したがる傾向が出るのかもしれません。そこへ思い出を美しくする「加齢現象」が加わります。

 木下恵介さんのメッセージは半世紀後の私に痛烈に突き刺さりました。私が肯定的にとらえていた50年代の日本は十分に悲劇的でした。それを思い出すことが出来ました。この映画の最初と最後のシーンで流しの演歌師に扮した佐田啓二が「湯の町エレジー」を歌います。空前のヒット曲だったこの歌を当時の私たちは「退廃」と聴いていました。半世紀経つうちにその感覚が擦り切れて、この歌を「健全な」ナツメロと聴くようになっていた自分をちょっぴり反省しているところです。

 念のために申し添えますが、安倍晋三氏たちは「戦後民主主義」からの脱却を主張し、「美しい国」の原型を戦前日本に求めているようです。私はそれには組しません。木下恵介氏の描いた日本の悲劇は、アメリカ占領軍のせいでも日教組のせいでもありません。戦前・戦中の日本が秘めていたものが、敗戦の混乱で露呈した。その意味で、戦前戦後は継続していると思うのです。

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